こぶだしゲームログ

クリアしたゲームの感想などを文章の練習も兼ねてまとめていきたいです

Alan Wake 2 感想・レビュー:より恐ろしく、より洗練されたホラーアドベンチャー

Alan Wake 2』をクリアしました。
奇怪な猟奇殺人事件がたびたび起こるアメリカの田舎町、ブライトフォールズ。プレイヤーはこの事件を捜査するFBIのサーガ・アンダーソン、そしてこの町で13年前に失踪し闇の世界に囚われた小説家、アラン・ウェイクの2人を操作し、奇妙で恐ろしい世界に足を踏み入れることになります。
※本記事はPC版、Ver1.0.12_JPのプレイを元に記述しております。

プレイ環境

・プラットフォーム: PC (Epic Games Launcher)
・OS: Windows 11
・CPU: Ryzen 5 5600X
・メモリ: DDR-3200 32GB
ビデオカード: Geforce RTX 3060 12GB
・動作: プリセット「中」から一部の設定を下げ、fpsは50~90台を推移

 

タイトルに「2」と冠されている通り、本作は実に13年ぶりに発売された『Alan Wake』の続編です。
世界観に登場人物、そして行く先々で見つかる謎めいた小説の原稿や、光を駆使して闇と戦うという根底の設定こそ共通していますが、探索や戦闘を始めとしたゲームのシステム全般、更に前作ではほとんど見られなかったゴア表現やジャンプスケアの多用などによる作風の変化など、あらゆる要素に手が加えられており、最初は戸惑いを感じたほど。
とはいえ、ゲームを進めていき作風に慣れてくると「これは確かに『Alan Wake』の続編だ」と思えるようになりましたし、また、多くの変更点により作品の方向性がより明確になり、ゲームとしての完成度は大きく高まったと感じました。

特に序盤はなかなかショッキングな場面が多いです

前作は基本的に一本道の進行でしたが、今作では広めの箱庭空間で会話や謎解きなどを行うことで物語が進行していき、寄り道や収集物などを含め、探索要素は大幅に強化されています。
加えて大きな特徴となっているのが、セレクトボタンでどこからでも瞬時に移動できる「精神世界/執筆部屋」の存在。
サーガ編においては「行く先々で見つかる手がかりを整理し、次に取るべき行動を推理する」、アラン編においては「特定の場所で思いついたプロットを当てはめることで世界が変化する」という、FBI捜査官と小説家というそれぞれの職業に応じた形で導入されており、物語への理解や没入感を高めることに一役買っていると感じました。
前作で邪魔に感じていた、プラットフォーマー要素(足場と足場の間をジャンプで乗り越えたり、狭い橋を落ちないように渡ったりといったもの)が廃され、敵の攻撃以外で死亡することが無くなったのも嬉しい変更です。

プレイヤーが能動的に関わっていくことで、
複雑な物語でありながらも理解はしやすいと感じました
(左:サーガ編、右:アラン編)

戦闘は「光を当ててシールドを剥がし、銃を使って倒す」という特徴的な流れはそのままに、武器やキャラクターの強化、拾った物資を収納するための靴箱などの要素が加わり、前述の探索要素も相まってよりサバイバルホラーとしての色が濃くなったという印象。
近年の『BIOHAZARD』シリーズや『DEAD SPACE』、『The Last of Us』などを経験済みであれば、ほぼ同じような感覚でプレイできるのではないかと思います。

靴箱は所謂アイテムボックスとしての役割を果たします

難易度ノーマルの場合、敵が一気に距離を詰めてきたり攻撃頻度もなかなかに激しいのに加え、弾丸はある程度節約を心がけないと(特に序盤は)枯渇するほどの量しか手に入らないため、少し難しめに調整されていると感じました。
本作は難易度をいつでも変更できるので、もしどうしても超えられない場面があったら躊躇わず下げてしまうのがよいでしょう。
(特定の難易度でないと解除できない実績・トロフィーというのはありませんので、コレクターの方たちもそういった点についてはご安心ください)

基本的な戦闘の流れは共通ですが、敵の見た目や性質はそれぞれで大きく異なります
(左:サーガ編、右:アラン編)

前作で多くのプレイヤーを虜にしたであろう、謎めいたストーリーは今作でも健在。
サーガとアランの2人の物語が複雑に絡み合い、先へ進むにつれて芋づる式に謎が増えていき、幾度となく予想を裏切ってくる展開に、続きが気になってプレイする手が止まらなくなることもしばしば。
前作では物語を補完する役割はあったもののあくまで収集要素の一部でしかなかった原稿を、サーガ編においての手がかりの一つとして上手くゲームプレイと絡めているのも見事だと感じました。

また、原稿以外にも収集物は多数用意されていますが、そのほとんどにサイドストーリーや謎解きがセットになっており、ただ集めていくだけの退屈な作業にはならないよう工夫されていたのも評価したいところです。

収集要素の一つである童謡
話に合わせて謎を解くことで、プレイヤーを強化するアイテムが手に入ります

デベロッパーであるRemedyの前作に当たる『Control』が日本語訳に難があったため不安だったのですが、本作の翻訳は良質と言って差し支えない出来。
複雑な物語でありながらも状況説明はわかりやすく、「何を言っているのかわからない」という場面はほとんどありませんでした。
前作から続投している登場人物は声優陣も基本的に同じ方々が演じているというのも、ファンには嬉しいポイントでしょう。

魅力的なストーリーではありますが、今作も最終的に詳しく説明されず、謎のままで終わる要素は多いです。
前作冒頭の「謎は謎のままでこそ、人々の記憶に残り続ける」という説明から、デベロッパーのホラーというジャンルに対する信条だとも伺えますが、エンディングも同様にはっきりしない終わり方であるため、いまいち釈然としない、モヤモヤとした気持ちを抱えるプレイヤーは多いのではないかと思います。
今後DLCの配信が予定されているので、ある程度そこで補完されることに期待したいところです。

特に謎めいた存在である、管理人ことアーティ
今作は『Control』と世界観を共有しているようで、
プレイ済みの方はニヤリとなるような場面がちらほら

大きく不満に感じたのは画面内に常に表示されるようなミニマップがないこと。
入り組んだ地形が多く迷いがちなのに加え、マップを開くためには(コントローラーでは)セレクトボタンの長押しという一手間かかる操作が必要なため、特に収集物を探す上でとても煩わしく感じました。
また、前述の通り翻訳自体は良質なのですが、音量が急に小さくなったり字幕より音声が遅れるということが多々あったり、酷いときには急に英語音声に切り替わるということもあり、ローカライズには少々難ありだと感じました。
一部の収集物は取り逃してしまうと最初からやり直すしかないというのも、できればアップデートで改善してほしいところです。

「敵の弱点だけが宙に浮いた状態で存在している」というバグにも何度か遭遇しました

総評

数多くの変更によって、よりサバイバルホラーとして洗練された作品となって帰ってきた『Alan Wake』。
方向性の変化により戸惑いを感じることも少なくなかったですが、それでも先を見たいと思える魅力的なストーリーは健在です。
前作と密接な繋がりがあるため、今作からプレイするというのはあまりおすすめできませんが、逆に前作のファンであれば是非とも手にとってみてほしいと思える作品でした。