こぶだしゲームログ

クリアしたゲームの感想などを文章の練習も兼ねてまとめていきたいです

フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと 感想・レビュー:演出の優れたウォーキングシミュレーター

『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』をクリアしました。
一族の多くが奇怪な死を遂げてきたフィンチ家。プレイヤーはその最後の生き残り、エディスを操作し、一族を襲った数々の死の真相を紐解いていきます。

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本作はジャンルとしては「ウォーキングシミュレーター」と呼ばれるものにあたり、複雑な謎解きやアクションが求められることはなく、移動したり特定のものを調べるだけで進行していくのが特徴です。
現実にはありえないような独特のグラフィックを押し出した作品も多いジャンルですが、本作の見どころはどちらかというとストーリーにあり、不思議な物語の数々が落ち着いたナレーションとともに語られます。
加えて、ただウィンドウを出すのではなく画面上に動きをつけて表示するなど、テキストを用いた演出がとても凝っており、舞台となる屋敷の細かいところまで見回したくなるような造形も相まって、視覚的にも退屈することはありませんでした。

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プレイヤーは屋敷に残された日記や手紙を調べることで、亡くなった一族の死亡間際の行動を追体験することになります。
この際プレイヤーの視点はエディスから一族の面々に切り替わるのですが、その操作方法や物語の雰囲気は人物によって全く異なり、製作者のこだわりを感じました。
中には他のゲームでは見たことのないような斬新な操作を求められるものもあり、驚かされることもしばしば。

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各々の物語はどれも死によって終わるため、決して明るい内容ではありませんが、ホラー作品のような恐怖感や不気味さよりは物寂しさを感じるものが多く、ほろ苦い余韻を残しながらも後味は決して悪くありませんでした。
特に、終盤からエンディングにかけての展開・演出はとても印象に残る見事なものでした。

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エンディングまでのプレイ時間は2~3時間程度と短めで、やりこみ要素などのリプレイ性も全くと言っていいほどありませんが、引き込まれる物語とそれを表現する巧みな演出によってプレイ時間以上の濃密な体験が出来たと感じます。
トロフィーの獲得が楽だったのも嬉しいところでしたね。(そもそもトロフィーがいらないタイプのゲームだったという気もしますが…)

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今回プレイしたのはPS4版ですが、一つ気になったのは最適化があまり上手く出来ていないのではないかということ。
細かいことといえばそれまでですが、フレームレートがあまり安定していなかったり、ゲーム再開時にグラフィックがぼやけた様な状態になってしまうのが少々残念でした。